BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

株式会社の資金調達

株主割当て・公募・第三者割当て

田中p.462

株主割当て:株主に対して募集株式の割当てを受ける権利を与えて行う

公募:不特定多数の者に募集株式を取得させる形で行う

第三者割当て:特定の第三者に募集株式を取得させる

株主割当が既存株主に資すること

神田p.142

 株主割当によれば、①持分比率の低下、②経済的損失(株式の時価の下落)という損失を押さえられる。

 なぜならば、第三者に新株が発行されると、①持分比率の低下が起こるが、この点、株主割当によるのであれば、発行先は既存株主のみに限定されるため、持分比率の低下を防ぐ機会が与えられる。

 また、第三者に時価よりも安く株式が発行されると、②平均的に時価が下がってしまうが、株主割当によるのであれば、安値で既存株主が新株を取得する機会が与えられるため、経済的損失を防ぐ機会が与えられる

新株の発行と自己株式の処分に同じ法的規律がされている理由

会社法第二章第八節(199条以下)

 自己株式の処分は、新株を発行するに等しい行為であり、ともに既存株主の①持分比率の低下、②経済的損失につながるから

 自己株式の処分がされると、それまで純資産の部の控除項目(マイナス項目)だった自己株式の分がなくなることから分配可能額は増えることになる

特殊の新株発行

神田p.147あとで

・取得請求権付種類株式・取得条項付種類株式等の取得で新株を対価とする場合

・株式無償割当て

・新株予約権の行使

・吸収合併

・吸収分割

・株式交換

いずれも、新たに株主を募集し出資を利己させることはないため、手続的規定が不要

募集事項を決定する機関が公開会社と非公開会社で異なる理由

田中p.465、468

公開会社→取締役会(201条1項、199条2項)

非公開会社→株主総会の特別決議(199条1項2項、309条2項5号)

非公開会社では、持株比率の維持に株主が強い関心を持つが、公開会社では強い関心を持たないと考えられることから。他方で、資金調達の迅速性の要請もある。

公開会社における新株の有利発行

 特に有利な金額である場合には、既存株主が希釈化による経済的損失を被るおそれがあることに鑑み、株主総会において、当該払込金額でその斧の募集をする理由を説明しなければならない(199条3項)

200条

 募集事項の決定は、株主総会が行うのが原則であるが、公開会社において、それを取締役会に委任することができる。ただし、有利発行の場合には、その理由の説明が必要になる(200条2項)

 ※あえて199条3項とは別に200条2項があるのは、199条3項が「前項の株主総会において」と規定しているから

第二百条 前条第二項及び第四項の規定にかかわらず、株主総会においては、その決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することができる。この場合においては、その委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限及び払込金額の下限を定めなければならない。
2 前項の払込金額の下限が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、同項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

有利発行に該当するか否かの判断

ロープラp.87

最判昭50.4.8(52)が公正発行価額についての抽象的な基準を示す。

最判平27.2.19(58)は非上場会社について。

東京地決16.6.1は、自主ルールに一応の合理性を認めて、それと比較している。

(直近の0.9or直近6ヶ月の平均の0.9)

支配株主の異同をもたらす募集株式発行

 支配株主の異同は、株主にとって自己の利益に直結する重大な関心事であるから。

 もっとも、全体の1割にも満たない株主しか反対していない場合、株主総会で決議されることが想定されることから、行わないことも認められる

第二百六条の二 公開会社は、募集株式の引受人について、第一号に掲げる数の第二号に掲げる数に対する割合が二分の一を超える場合には、第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該引受人(以下この項及び第四項において「特定引受人」という。)の氏名又は名称及び住所、当該特定引受人についての第一号に掲げる数その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。ただし、当該特定引受人が当該公開会社の親会社等である場合又は第二百二条の規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合は、この限りでない。
一 当該引受人(その子会社等を含む。)がその引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数
二 当該募集株式の引受人の全員がその引き受けた募集株式の株主となった場合における総株主の議決権の数
4 総株主(この項の株主総会において議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主が第一項の規定による通知又は第二項の公告の日(前項の場合にあっては、法務省令で定める日)から二週間以内に特定引受人(その子会社等を含む。以下この項において同じ。)による募集株式の引受けに反対する旨を公開会社に対し通知したときは、当該公開会社は、第一項に規定する期日の前日までに、株主総会の決議によって、当該特定引受人に対する募集株式の割当て又は当該特定引受人との間の第二百五条第一項の契約の承認を受けなければならない。ただし、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、この限りでない。

デット・エクイティ・スワップ

神田156

 業績が悪化した会社の債権等のため、債権者がその債権を債務会社の株式に振り返る手法

 評価額説による場合は、券面額よりも小さい価額となる。

現物出資の場合には、その債権の券面額が正しいか否かを判断するものであることから、券面学説によるべき。他方で、有利発行との関係では、実際に株主が得る株式の金額を考慮すべきであることから、評価学説によるべき

募集株式の発行の差止

 募集株式の発行は、既存株主に不利益に働く場合があるから、法令又は定款に違反する場合、著しく不公正な方法により行われる場合は、差止請求ができる(210条)

株主に差止めの機会を与えるためのルール

(差止めの仮処分(民事保全法23条2項))

(上述の、有利発行の場合の株主総会決議。)

 取締役会で募集事項を定めた場合の201条3項による通知・公告。

公開会社における新株の不公正発行にかかる裁判所の差止めの判断基準

東京高決平16.8.4(54)

東京高決平24.7.12(55)

 会社支配権維持の目的VS資金調達の必要性

新株発行の無効の訴え

新株発行の効力が生じた日から、公開会社では6ヶ月以内。非公開会社では1年以内(828条1項2号)

原告適格は、株主等のみ(828条2項2号)

対世効あり(838条)

将来効(839条)

 

新株発行不存在確認の訴えには、原告適格は法定されていない。(829条1号2号)

提訴期間の制限なし

認容判決には第三者にも効力が及ぶ(対世効838条)

 

新株発行無効の訴えの無効事由

発行可能株式総数超過(37条・113条)や定款の授権を書く場合

最判平5.12.16 株式会社が新株発行差止めの仮処分に違反した場合

最判平9.1.28 募集事項の公示を欠く場合←株主に差止請求の機会を保証するためのものであるため

有利発行を受けた者の支払責任

(不公正な払込金額で株式を引き受けた者等の責任)
第二百十二条 募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める額を支払う義務を負う。
一 取締役(指名委員会等設置会社にあっては、取締役又は執行役)と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた場合 当該払込金額と当該募集株式の公正な価額との差額に相当する金額
二 第二百九条第一項の規定により募集株式の株主となった時におけるその給付した現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足する場合 当該不足額
2 前項第二号に掲げる場合において、現物出資財産を給付した募集株式の引受人が当該現物出資財産の価額がこれについて定められた第百九十九条第一項第三号の価額に著しく不足することにつき善意でかつ重大な過失がないときは、募集株式の引受けの申込み又は第二百五条第一項の契約に係る意思表示を取り消すことができる。

213条の2

第二百十三条の二 募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
一 第二百八条第一項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した払込金額の全額の支払
二 第二百八条第二項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した現物出資財産の給付(株式会社が当該給付に代えて当該現物出資財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)
2 前項の規定により募集株式の引受人の負う義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。

 

金銭債権からの債権回収

代位訴訟と取立訴訟の得失

 前回の参照

債権者代位権の要件

・被保全債権が金銭債権(423条1項本文)

・被保全債権の履行期の到来(423条2項)

・債務者が無資力であること(423条1項本文)

・債務者が権利を行使していないこと

・行使される権利が一身専属でないこと(423条1項ただし書)

事実上の優先弁済効

 

転付命令には事実上の優先弁済効あり。 ただし、転付命令送達前の差押えにより無効になる。

代位行使にも優先弁済効あり。

 

Cから確実に弁済を受けられるかで、対応が変わってくる。具体的には、転付命令は、額面により弁済されたことになってしまうため、それはとりにくくなる。

 

債権回収法総論

和解の提案

 飲むべきではない。Yに資力がないのであれば別だが、3万円程度の資力は当然にあるものと考えられる。そういうとき、Yがどのような性格であろうと、最終的に強制執行に及ぶことができるのであるから、和解に応じずとも3万円の回収をすることは可能である

債権回収

回収手段

1 債権者代位権

2 差押え、競売 

 ・訴訟

 ・支払督促

(・執行証書)

(・抵当権設定)

(・相殺)

(・代物弁済)

(・債権譲渡による代物弁済)

Bの対抗手段

・弁済

・供託

Dの出方

・不動産の強制執行に対しては、債権届出、配当要求、交付要求

・金銭債権の強制執行に対しては、第三者意義訴訟(執行法38条)。配当要求は文書で先取特権があることを証明した債権者のみ(執行法154条)

・第三債務者Cによる供託がなされた場合の配当参加(執行法166条1項)

株式会社の計算

長銀事件

 ノンバンクとは、貸金業者のこと。

 新経理基準を厚生なる会計慣行と認めたわけではない。

 決算経理基準は、大枠の指針を示す定性的なもので、具体的適用は明確となっていない。

 新経理基準と旧経理基準は、ほぼ並列で存在していたもの

最判平16.7.1

 請求の理由を基礎付ける事実が客観的に存在することについての立証を要するとすると、本来、閲覧した資料を元に立証すべきことを、閲覧前に立証しなければいけないこととなり、前後関係が矛盾し、閲覧請求をすることが著しく困難となる

帳簿閲覧請求権の対象

 「会計帳簿またはこれに関する資料」とは、会計学条の仕訳帳、元帳及び補助簿、会計帳簿作成に当たり直接の資料となった書類などの会計帳簿を実質的に補充する書類

株主の加害の意図

 433条2項2号の場合

 「目的」という文言があることから、加害の意図が必要なようにも思われる。もっとも、当該意図を持っているか否かは、客観的状況に基づき主観的意図を推認して判断することになるところ、意図があると推認される状況があるのであれば433条2項2号に当たると判断できる