BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

同意による違法性阻却に関しての復習

ジャイアンツファン(笑)

 ゲームの妨害をすることは、管理権者の意思に反する立ち入りであって、「阪神甲子園球場」という人が看守する「建造物」に、「侵入」していることから建造物侵入罪の構成要件に該当し、また、そのことについて真正な同意があったとはいえないことから違法性阻却もされないため、建造物侵入罪が成立する

ゆとり社員乙

 仕事を休む目的であって、それによって直截的に第三者に損害を生じさせるわけでもないから、社会的相当性を欠くということはできず、同意によって違法性が阻却され、傷害罪は成立しない(社会的相当性説)

 同意が存在している以上、保護すべき法益が存在せず、傷害罪は成立しない(法益欠如説)

ゆとり社員死亡パターン

 あくまでも傷害について同意をしていたことから、死の結果を生じさせた行為について違法性が阻却されるわけではない。死の結果を引き起こすような傷害行為自体が、同意に基づくものでなかった以上、傷害致死罪が成立するものと考えられる

※そもそも傷害について同意があった以上、傷害罪が成立せず、傷害罪の結果的加重犯である傷害致死罪も成立しないということも考えうるが…。

物置の所有者の同意を得た放火

 放火は、社会的法益に対する罪でもある。

 ただし、同意を得ている以上、自己物と同様の扱いとすべきであり、物置であるから、自己所有の非現住建造物等放火罪(109条2項)の構成要件に該当し、周囲の家屋に延焼する具体的な危険性が生じている以上、既遂となる。

正当防衛の必要性・相当性の復習

酔っぱらいにからまれた事案

 かなり微妙な事例。

 軽微な侵害に対して、あえて過大な行為を認識して行っており、防衛の意思を否定するという議論を導くのはひっかけか。

 ホームに転落させることまでは意図していなかった以上、酔男にからまれる中で、そこから逃れるために胸を押す程度の行為は、相当性が認められ、急迫不正の侵害が有り、自己の身体を守るため、防衛の意思に基づいていることから、正当防衛が成立するとするのが妥当か

 

包丁で脅迫した事例

 素手VS包丁であるから、形式的な相当性の要件は充たさない。

 しかし、説得などで暴行をやめさせることは困難で、包丁を示して脅迫することが侵害を免れるための唯一の手段であり、また、包丁も脅迫の手段として用いただけにすぎないことから、実質的には相当性の要件を満たし、正当防衛の成立が肯定される

 

泥酔した相手から包丁を奪い取り、相手が転倒した後に包丁で背中を刺した事例

 相手が転倒したことにより加害の意志が断絶したか否かは定かではないものの、包丁を奪い取った時点で、すでに侵害は終了していると考えることができ、背中を包丁で刺した行為には防衛の意思がないと考えられることから、正当防衛も過剰防衛も成立しない(①時間的・場所的連続性はあるものの、②同一の意思決定によるものとは言えない)

 

誘拐犯から強要されて銀行強盗を行った事案

 娘の生命を救うためには銀行強盗を行うしかなく、補充性の要件が満たされると仮定する。

 すると、生命を守るために、銀行の財産を侵害しているということで、法益の権衡も認められることから、切迫した現在の危難があり、娘の生命を守るため、補充性を満たす以上、Yには緊急避難が成立するものと考えられる。

 一方、誘拐犯Xについては、脅迫罪及び、強盗罪の教唆犯の罪責を負う。脅迫罪は思い後者に吸収される(Yの娘が未成年であれば未成年者略取・誘拐罪が成立するが、そうでなければ成立しない(場合によっては身代金目的略取・誘拐が成立する))

 

バスの運転手が急ブレーキを踏んだ事案

 バスの運転手が前方不注意という有責行為により自ら招いた危難ではあるが、ブレーキをかける程度のことは社会の通念に照らしやむを得ないものであることから、補充性の要件を満たし、現在の危難があり、Aの生命を守るためにおこなったもので、保護法益が生命で侵害法益が身体である以上法益の権衡も満たし、緊急避難が成立する

 万が一緊急避難が成立しなかった場合、未必の故意があることから、傷害罪が成立する

 

被害者の同意による違法性阻却の根拠

 同意により、侵害される法益の法益性がなくなるから

 

10歳の児童に対する同意殺人

 6歳未満の子どもに同意能力を否定する判例の立場によれば、10歳の子どもであれば、同意能力があるように思われるから、特段の事情がないかぎり、同意殺人罪が成立する

 

他人の財物を糧に損壊したが、被害者はその財物を不要であると考えていた場合

 器物損壊の実行行為はあるが、客観的には保護される法益がないため、器物損壊の未遂となる。ただし、器物損壊罪に未遂犯は規定されていないため、不可罰となる

 

錯誤による同意(偽装心中、強盗目的での住居侵入)

最判昭33.11.21、最大判昭24.7.22

 違法性を阻却するための同意には、真意に基づく同意が必要であり、錯誤による同意は原則として違法性を阻却しない

同意傷害に関する学説の対立

①公序良俗違反説(最決昭55.11.13、仙台地石巻支判62.2.18)←行為無価値

②生命に危険のある重大な傷害説

③不可罰説

 

安楽死が認められる要件(名古屋高判昭37.12.22)

①病者が現代医学の知識と技術からみて不治の病に冒され、しかもその死が目前に迫っていること

②病者の苦痛が甚だしく、何人も真にこれを見るに忍びない程度のものなること

③もっぱら病者の市区の緩和の目的でなされたこと

④病者の意識がなお明瞭であって意思を表明できる場合には、本人の真摯な嘱託又は承諾のあること

⑤意思の手によることを本則とし、これにより得ない場合には石によりえないと講習するに足る特別な事情があること

⑥その方法が倫理的にも妥当なものとして認容しうるものなること

 

川崎協同病院事件(最決平21.12.7)

①回復可能性や余命について適格な判断を下せる状況にはなかった(←(i)脳波等の検査の不実施、発症から2週間という短期間)

②被害者の家族からの要請が、適切な情報に基づくものではなかった

③被害者の推定的同意に基づくものでもない

 

⇒終末期医療における治療中止が正当化されるためには

①十分な検査を実施しかつ十分な経過観察期間を経て、回復可能性がなく、余命も短いと判断されたこと

②適切な情報に基づき被害者の家族から要請されたものであること

③被害者の推定的同意に基づくものであること

が必要

①②③の関係については、①かつ(②又は③)?

贈与

贈与契約を締結し、書面を作成した場合

 書面を作成している以上、契約を撤回することはできず、受贈者からの土地明渡請求を拒むことはできない

 

負担付贈与で、その負担を履行しない場合

 弟Dは、店の経営を引き継ぐということを了承した上で贈与を承諾している。

 従って、553条で準用する541条に基づき、債務不履行による解除(①不履行の事実、②帰責事由、③相当の期間を定めた催告が必要)をすることができる

 

 

(贈与)
第五百四十九条  贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。


(書面によらない贈与の撤回)
第五百五十条  書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。




(負担付贈与)
第五百五十三条  負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

 

(解除権の行使)
第五百四十条  契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2  前項の意思表示は、撤回することができない。


(履行遅滞等による解除権)
第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

正当防衛・緊急避難

36条1項の「やむを得ずにした行為」

最判昭44.12.4

「急迫不正の侵害に対する反撃行為が、自己又は他人の権利を防衛する手段として必要最小限度

すなわち、

反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであること」

 

「やむを得ずにした行為」に関する判例

包丁を手にした脅迫の判例(最判平元.11.13)

「危害を避けるための防御的な行動に終始していたものであるから、その行為をもって防衛手段としての相当性の範囲を超えたものということはできない」

急迫不正の侵害が終了していないとされた事例(最判平9.6.16) 

①「同人の被告人に対する加害の意欲は、旺盛かつ強固であり……存続していた」

②「間もなく体制を立て直した上、被告人に追いつき、再度の攻撃に及ぶことが可能であった」

→「急迫不正の侵害は……継続していた」

「同人の急迫不正の侵害及び被告人の防衛の意思はいずれも存していた」

ただし、

「攻撃力はかなり減弱していた」一方で、「片足を持ち上げて……転落させた行為は、一歩間違えばどう人の死亡の結果すら発生しかねない危険なものであった」から、

「鉄パイプで同人の頭部を1解殴打した行為を含む被告人の一連の暴行は、全体として防衛のためにやむを得ない程度を超えたものであった」

 

夜道で襲われた女性が、身を守るためには石で殴りつけて致命傷を与えるしかなかった場合

 必要最小限度性は、当該具体的状況の下において、可能な防衛手段の選択肢及びその使用態様を考慮した上で、具体的に判断される必要があるから、力の弱い女性が道具を使わずに加害者から身を守ることはできず、侵害から身を守るためには石を相手の頭部に振り下ろして致命傷を与える行為が唯一の手段であった以上、相当性が認められる

 

過剰防衛

防衛行為が「防衛の程度を超えた」場合。

①質的過剰 急迫不正の侵害に対して必要な程度を超えて法益侵害を生じさせた場合
②量的過剰 急迫不正の侵害が終了した後も、反撃行為を継続する場合

過剰防衛の任意的減免の根拠

①責任減少説

 急迫不正の侵害に直面した緊急事態において恐怖・狼狽から多少の行き過ぎ行為をすることはやむを得ず、避難可能性(責任)が減少している

②違法減少説

 法益侵害に対する防衛行為がなされているから違法性が減少している

③違法・責任減少説

 ①②の合体

最決平20.6.25

「その間には断絶があるというべきであって、急迫不正の侵害に対して反撃を継続するうちに、その反撃が量的に過剰になったものとは認められない」

 第1暴行と第2暴行を分断して考えた上で、急迫性が存在せず専ら攻撃の意思に基づいて第2暴行に及んでいることから、第2暴行について、正当防衛も過剰防衛も成立せず、傷害罪が成立する

37条1項の緊急避難の性質

①違法性阻却事由説

 実質的違法阻却原理としての同等利益・優越的利益の保護を法定したもの

②責任阻却事由説

 侵害を無関係の他人に転嫁することは正当化できない。

③二元説

 ①②

同価値の場合に緊急避難を認めることができるか

 37条1項でそう書いてあるから認められる(政策的判断に基づく?)

タイタニックのラストシーン(カルネアデスの板)

 どちらも同価値であるとすれば、緊急避難が認められるのではないか

適法な逮捕に対し、警察官を殴って逃走する行為

 相手が正当行為である以上、保護すべき法益の価値が失われ、違法性が阻却されることはない

37条1項の「やむを得ずにした行為」

補充性:危難回避のため、より侵害性の低い行為が他に存在しないこと

設問の例においては、成立しない

 

高級スーツを着ている人が、大雨に合ったため、安いスーツを着ている人から傘を奪うことが認められるか(ただし補充性の要件は満たす)

 この場合、緊急避難は成立しないとも思われる。

 傘はスーツを守るためのものだけではなく、使用者の健康という身体的利益等も守るものであり、スーツだけで比較すべきものではないがそうだとしても、身体VS身体で同等であれば、緊急避難は成立してしまう。

 避難行為の相当性の議論?

 保全法益が高級スーツだけであり、侵害法益が安いスーツ+身体的利益であると考えれば、緊急避難を否定することもできるのでは?

※そもそも、雨によってスーツが台無しになる可能性がないともいえるが、これについては誤想避難の問題となりうる。

 

緊急避難における「害の衡量」

保全法益と侵害法益との比較衡量


生命>身体>自由>財産

 

・法益の序列を抽象的に比較するのではなく、個別状況における法益侵害の量、程度、
危険性などを考慮した衡量がなされる必要がある。

正当防衛の復習

最判平9.6.16類似の事例

 胸を強く押す行為には、急迫不正の侵害及び防衛の意思を認めることができる。

 その後、地面に点灯してしばらく動かなくなっているが、その後立ち上がって攻撃を再開するそぶりを示しているため、いまだその時点では被害者における加害の意欲は存続し、急迫不正の侵害も継続していたと考えられる。

 ただし、相手が気を失っていて加害の意欲が存続していない場合や、動かなくなった時間が長く、すぐには侵害が再開されないような場合には、急迫不正の侵害が継続しているとは考えることができず、侵害の急迫性がないこととなる

 

加害者が第三者のバットを用いて攻撃してきた行為に対し、被害者が当該バットを破壊した場合

 正当防衛が成立する。バットは加害者の侵害の一部をなすため。

 犬を使った対物防衛と同じ

 

加害者の侵害に対し、第三者の竹刀を用いて防戦した結果、竹刀を破壊してしまった場合

 正当防衛は成立しない。Aの財産権が損害されているが、A自身は不正ではないため。

 

侵害を予期して車を降りた結果、暴行を受け、それに対してやり返した場合

 時間的切迫性はあるが、十分な予期と積極的加害意思があることから、急迫性が否定されるのではないか

 ただし、本件において、積極的加害意思があるかは微妙

 

ゴミの不法投棄に対して強く注意したところ、激高したAがXに暴行を加えたため、XがAにやり返した場合

 そもそもXは不法投棄に対して注意をしているだけであり、違法な行為(暴行強迫等)をしているわけではない。

 したがって、自招侵害の事例ではなく、急迫不正の侵害があり、自己の権利を防衛するため、相当な行為を行っている以上、正当防衛が成立する

 

防衛の意思が否定される場合

 防衛の認識があったとしても、攻撃を受けたのに乗じ積極的な加害行為に出た場合や、防衛の名に借りて侵害者に対し積極的に攻撃を加える場合は、防衛の意思が認められないこともある。

東京高判昭60.10.15

専ら相手方に対し積極的に攻撃を加える意思で行為に及ぶこと

①具体的にとった反撃の手段が防衛のためにはとうてい必要とはいえない過大なものであり

②かつ、そのことを行為者が知りつつあえてそのような手段をとったようなとき