BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

売買契約、瑕疵担保責任(法定責任説、契約責任説)

数量指示売買の目的物が足りなかった場合

 善意の買主は、代金減額請求、解除、損害賠償が可能。

 悪意の買主は、代金減額請求が可能?(←565条、563条1項をよむと可能なように見えるが、潮見説は代金減額請求も否定)

 

中古車の購入後、エンジン不良により通常走行にも支障を来すことを発見した場合

法定責任説

特定物売買→債務不履行請求不可→瑕疵担保責任

エンジン不良は、通常人が取引上必要な注意によって発見することはできない=「隠れた」

目的物の本来の価値を実現できない=「瑕疵」

当該瑕疵が売買契約時に存在していた

570条の瑕疵担保責任を適用し、信頼利益の賠償(瑕疵のないものだと思って購入したことによって生じた不利益の賠償)

完全履行請求不可

解除も不可

契約責任説

債務不履行の特則

エンジン不良が原始的瑕疵であっても、それは不完全履行となる。

エンジン不良は、通常人が取引上必要な注意によって発見することはできない=「隠れた」

目的物の本来の価値を実現できない=「瑕疵」

当該瑕疵が引渡し時に存在していた

債務不履行責任として、履行利益の賠償を求めることができる

完全履行請求可

解除も可

節電効果のあるエアコンを買いたいと言ったのに、実際には節電効果のないエアコンだった場合

法定責任説

そもそも、動機として性質について表明している以上、動機の錯誤で、売買契約の無効を主張できる(95条)

錯誤で契約が無効である以上、瑕疵担保責任は追及できない(錯誤優先説)

契約責任説

錯誤と瑕疵担保責任が競合したときは、瑕疵担保責任による(瑕疵担保責任優先説)

善意の買主は、解除、損害賠償、代金減額請求を求めることができる

特定物ドグマ

 特定物の売買契約において、瑕疵のある特定物を引渡しても、引渡し時に存在していた特定物を引渡したのであれば、それは完全な履行であり、買主は売主に対して債務不履行に基づく責任を追求することができないという考え方

 目的物の性質は、効果意思に含まれないという考え方を基礎にしている

特定物ドグマへの批判(個人的な考え)

 通常、売買契約において、売主と買主は正常な性質を有するものと思って契約を締結するはずである。すると、目的物の性質も効果意思に含まれると考えるべきであり、性質も契約の内容になっていると考えるべきである。

 そうであるとすれば、正常な性質を有していない物を引渡したところで、それは未だ完全な履行がなされたとはいえず、債務不履行の責任を負うべきである

法定責任説と契約責任説との結論の違い

①法定責任説では、瑕疵担保責任(570条)の対象は、特定物のみ。

 契約責任説では、特定物および不特定物

②法定責任説では、瑕疵の有無の判断基準は契約締結時。

 契約責任説では、瑕疵の有無の判断基準は引渡し時。

③法定責任説では、信頼利益の賠償

 契約責任説では、履行利益の賠償

④法定責任説では、完全履行請求権を有しない

 契約責任説では、完全履行請求権を有する

不特定物売買における瑕疵担保責任

法定責任説

 瑕疵担保責任の制度は、債務不履行に基づく責任を追及できないときでも債権者を保護するために法律があえて定めた制度であることから、不特定物売買において瑕疵あるものが引き渡されても債務者はいまだ完全な履行をしておらず、債務不履行の責任を負うことから、瑕疵担保責任を追求することはできない

契約責任説

 瑕疵担保責任の制度は、債務不履行責任の特則であることから、瑕疵あるものが履行され、債務不履行の責任を負うべき債務者に対して、瑕疵担保責任を追求することができる

 

関連法令

数量指示売買

(数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任)
第五百六十五条  前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。

(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
第五百六十三条  売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
2  前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。
3  代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。
第五百六十四条  前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ一年以内に行使しなければならない。

瑕疵担保責任

(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

 

錯誤

(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。