BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

正当防衛の必要性・相当性の復習

酔っぱらいにからまれた事案

 かなり微妙な事例。

 軽微な侵害に対して、あえて過大な行為を認識して行っており、防衛の意思を否定するという議論を導くのはひっかけか。

 ホームに転落させることまでは意図していなかった以上、酔男にからまれる中で、そこから逃れるために胸を押す程度の行為は、相当性が認められ、急迫不正の侵害が有り、自己の身体を守るため、防衛の意思に基づいていることから、正当防衛が成立するとするのが妥当か

 

包丁で脅迫した事例

 素手VS包丁であるから、形式的な相当性の要件は充たさない。

 しかし、説得などで暴行をやめさせることは困難で、包丁を示して脅迫することが侵害を免れるための唯一の手段であり、また、包丁も脅迫の手段として用いただけにすぎないことから、実質的には相当性の要件を満たし、正当防衛の成立が肯定される

 

泥酔した相手から包丁を奪い取り、相手が転倒した後に包丁で背中を刺した事例

 相手が転倒したことにより加害の意志が断絶したか否かは定かではないものの、包丁を奪い取った時点で、すでに侵害は終了していると考えることができ、背中を包丁で刺した行為には防衛の意思がないと考えられることから、正当防衛も過剰防衛も成立しない(①時間的・場所的連続性はあるものの、②同一の意思決定によるものとは言えない)

 

誘拐犯から強要されて銀行強盗を行った事案

 娘の生命を救うためには銀行強盗を行うしかなく、補充性の要件が満たされると仮定する。

 すると、生命を守るために、銀行の財産を侵害しているということで、法益の権衡も認められることから、切迫した現在の危難があり、娘の生命を守るため、補充性を満たす以上、Yには緊急避難が成立するものと考えられる。

 一方、誘拐犯Xについては、脅迫罪及び、強盗罪の教唆犯の罪責を負う。脅迫罪は思い後者に吸収される(Yの娘が未成年であれば未成年者略取・誘拐罪が成立するが、そうでなければ成立しない(場合によっては身代金目的略取・誘拐が成立する))

 

バスの運転手が急ブレーキを踏んだ事案

 バスの運転手が前方不注意という有責行為により自ら招いた危難ではあるが、ブレーキをかける程度のことは社会の通念に照らしやむを得ないものであることから、補充性の要件を満たし、現在の危難があり、Aの生命を守るためにおこなったもので、保護法益が生命で侵害法益が身体である以上法益の権衡も満たし、緊急避難が成立する

 万が一緊急避難が成立しなかった場合、未必の故意があることから、傷害罪が成立する

 

被害者の同意による違法性阻却の根拠

 同意により、侵害される法益の法益性がなくなるから

 

10歳の児童に対する同意殺人

 6歳未満の子どもに同意能力を否定する判例の立場によれば、10歳の子どもであれば、同意能力があるように思われるから、特段の事情がないかぎり、同意殺人罪が成立する

 

他人の財物を糧に損壊したが、被害者はその財物を不要であると考えていた場合

 器物損壊の実行行為はあるが、客観的には保護される法益がないため、器物損壊の未遂となる。ただし、器物損壊罪に未遂犯は規定されていないため、不可罰となる

 

錯誤による同意(偽装心中、強盗目的での住居侵入)

最判昭33.11.21、最大判昭24.7.22

 違法性を阻却するための同意には、真意に基づく同意が必要であり、錯誤による同意は原則として違法性を阻却しない

同意傷害に関する学説の対立

①公序良俗違反説(最決昭55.11.13、仙台地石巻支判62.2.18)←行為無価値

②生命に危険のある重大な傷害説

③不可罰説

 

安楽死が認められる要件(名古屋高判昭37.12.22)

①病者が現代医学の知識と技術からみて不治の病に冒され、しかもその死が目前に迫っていること

②病者の苦痛が甚だしく、何人も真にこれを見るに忍びない程度のものなること

③もっぱら病者の市区の緩和の目的でなされたこと

④病者の意識がなお明瞭であって意思を表明できる場合には、本人の真摯な嘱託又は承諾のあること

⑤意思の手によることを本則とし、これにより得ない場合には石によりえないと講習するに足る特別な事情があること

⑥その方法が倫理的にも妥当なものとして認容しうるものなること

 

川崎協同病院事件(最決平21.12.7)

①回復可能性や余命について適格な判断を下せる状況にはなかった(←(i)脳波等の検査の不実施、発症から2週間という短期間)

②被害者の家族からの要請が、適切な情報に基づくものではなかった

③被害者の推定的同意に基づくものでもない

 

⇒終末期医療における治療中止が正当化されるためには

①十分な検査を実施しかつ十分な経過観察期間を経て、回復可能性がなく、余命も短いと判断されたこと

②適切な情報に基づき被害者の家族から要請されたものであること

③被害者の推定的同意に基づくものであること

が必要

①②③の関係については、①かつ(②又は③)?