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BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

貸借契約

諾成的消費貸借契約?

 本件は、諾清的消費貸借契約ではなく、単なる消費貸借契約(578条)であるように思われる(コミットメントライン契約のような要素も見られない)。

 そうであるとすれば、要物契約であって、いまだ金銭の交付がされていないことから、借主は1億円の融資を請求することはできず、貸主の提示した8000万円の消費貸借契約を締結するしかない(貸す債務は観念されない)。

甥に建物を賃料無料で貸した事例

 賃料は課さず、借主が使用収益する上で必要な水道光熱費の実費5000円のみを貸主に支払うこととしていることから、使用貸借契約(593条)である

 使用貸借であり、期間の定めがないから、原則として、貸主が返還請求した時点で使用貸借契約は終了し、返還(明渡し)しなければならない(597条3項)。

 ただし、契約締結当初に使用収益目的を定めていた場合には、借主である甥の側から抗弁として主張しうる(597条2項)。

賃貸借契約終了に伴う敷金の返還

 契約終了時に返済されることを約束されていること(及び賃料月額20万円に対して「保証金」が40万円(2月分)であり慣習上の敷金の範囲内)から、本件「保証金」は実質的には敷金の性質をもつものと考えられる。

 そうであるとすれば、賃料不払い(や敷引特約に基づく損害賠償義務)がなければ、原則として40万円全額の払戻しを請求することができる。

 しかし、敷金設定契約は賃貸借契約とは別個の契約であること、また、敷金返還請求権の発生時期は明渡し時であること(及び敷金の金額と建物の価値の差が著しいこと)から、ひとつの双務契約を原因とした対価的牽連関係になく、また、敷金返還債務の履行期が到来していないことから、敷金の返還と建物の明渡しは同時履行の関係(533条)には立たず、敷金の返還がされないことを抗弁として建物の明渡しを拒むことはできない