BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

債務不履行の要件2

遅滞に基づく解除なき損害賠償

催告と解除を行っていた場合

 解除を行っている以上、AからBへの請求は認められない。

 解除を行っていることから、415条2項3号による填補賠償として、BからAへの請求は認められる

催告のみを行っていた場合

 解除をしていない以上、AからBへの請求は認められる。

 解除をしていないことから、填補賠償は認められない。もっとも、遅延賠償である100万円については、請求できる余地がある

 解除をしていないが、改正民法415条2項3号によって填補賠償を請求できるのではないか。

※大判昭8.6.13「債務者の責に帰すべき事由によつて履行不能を生じたときは、債権者の請求権は、解除を俟つことなく填補賠償請求権に変ずる」
によると、旧規定でも填補賠償も認められるか

催告も何もしていなかった場合

 解除をしていない以上、AからBへの請求は認められる。

 解除をしていないことから、填補賠償は認められない。もっとも、遅延賠償である100万円については、請求できる余地がある

 催告をしていない以上、大判昭8.6.13には当たらず、また、「解除権が発生」したともいえないから、填補賠償も請求できないのではないか

 催告をしていないが、542条1項2号により解除し、415条2項2号で損害賠償請求ができる

遅滞後の不能

 大判明39.10.29においては、履行遅滞中の不能は、債務者の責めに帰すべきものとされていた。

 改正民法413条の2第1項により、その旨が明文化された。これにより、415条1項ただし書には当たらなくなる。

 従って、本問においては、売主の帰責性により履行不能になったものとして、填補賠償(415条2項1号)を請求することができる

契約責任と不法行為責任の得失

①故意過失の立証責任
→契約責任では推定される。不法行為責任では請求側が立証責任を負う

②時効
→旧法では、契約責任は10年、不法行為責任は3年だった。

 新法でも、基本的には変わらない。

③生命侵害における近親者の固有の慰謝料
→契約責任では、特に認められない。不法行為責任では、711条の規定がある。

④履行補助者責任か使用者責任か
→契約責任では履行補助者責任。不法行為責任では使用者責任。

 使用者責任においては、選任監督上の過失がないことを不法行為者が立証すれば免責される。

 履行補助者責任においては、履行補助者の責任を請求側が主張立証する必要がある。

 もっとも、ドイツでは使用者責任の免責が認められやすいため、履行補助者責任の法理ができたが、日本では使用者責任(715条)の免責は殆ど認められないため、履行補助者責任を用いるべき場面は少ない。

⑤責任主体
→契約責任は契約相手(義務を負っていた者)。不法行為責任は、不法行為者

⑥損害(生命侵害)
→契約責任においては、生命侵害があったとしても、契約責任を負うべき権利法益侵害(→損害)といえるのかどうかは契約内容次第になる? 不法行為責任においては、生命侵害があれば直ちに権利法益侵害(→損害)といえる?←ここはよくわからない。不法行為の場合でも、医療など、承諾により保護の程度が弱まっている場合もある

⑦遅延損害金の起算点
→契約責任では請求時。不法行為責任では、不法行為時

⑧相殺
→契約責任であれば、相殺されうる。不法行為であれば、受働債権として相殺されない(509条。ただし、新法では相殺できない条件が少し限定されている)

履行補助者の過失

従業員の不注意で商品が滅失 
→従業員は真の意味の履行補助者であり、債務者の過失と同視すべき。特定されていれば、後発的不能の話で、相手は解除でき、債務者は債務不履行責任を負う。特定されていなければ、未だに債務を負っている

再寄託中の地震
→そもそも承諾がなければ、再寄託すること自体が債務不履行。なお、承諾を得た場合でも、改正民法では、105条2項の規定が削除され、選任監督の過失のみに限定せず、債務不履行の規律によって責任を負うことになる。本件では大地震であるが、Aの保管庫が十分な耐震性を有していたか等を確認した上で再寄託をしたなど、Yに何ら帰責性がない場合には、責任を負わない。

宅配業者の不注意
→禁止も許可もなければ、履行補助者の故意過失の問題。信義則上同視すべき場合には、特定されていれば、後発的不能の話で、相手は解除でき、債務者は債務不履行責任を負う。特定されていなければ、未だに債務を負っている

銀行のミス
→信頼できる銀行に依頼していれば、過失はない。信頼できない銀行に依頼していた場合には、その選任に過失があったといえる

妻の過失による賃貸家屋の焼失
→利用補助者の過失。信義則上同視すべきものといえる

照明設備の修理業者の過失による賃貸家屋の焼失
→利用補助者の過失。選任監督に問題があるか。

転借者の過失による賃貸家屋の焼失
→利用代行者の過失。612条により、転貸借は禁止。承諾を得ていた場合には、選任監督も含めて善管注意義務違反(400条)があれば、過失があり債務不履行責任を負う

安全配慮義務と履行補助者責任

 すぐに事故を知っているものと考えられるから、3年が経過しており不法行為責任は問えない。

 本件で問題となるのは債務不履行。安全配慮義務違反があったかが問題となる。

 そもそも輸送計画に問題があった場合には、安全配慮義務違反があったといえる。

 免許取得後すぐで十分な運転経験を有していなかった場合は、微妙。想定される輸送計画が困難なものであることが分かっていて、それでいて初心者であるAを運転手としたならば問題あり

 計画自体に問題がなかった場合、運転手自身の睡眠不足が原因の場合は、安全配慮義務違反はなかったといえる