BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

逮捕に伴う無令状の捜索差押え、強制採尿

最判昭36.6.7

 逮捕に伴う捜索差押えが無令状で許される理由を、①人権の保障上各別の弊害がないこと、及び、②操作上の便益にもかなうことがあげられる

X宅に証拠物が存在する蓋然性

 麻薬という禁制品で、自宅に隠している可能性が高く、X宅に証拠物が存在する蓋然性は認められる。蓋然性は、在宅中か外出中かによって変わらない

現実に被疑者を逮捕した場合であることが必要か

 文言解釈からすると「逮捕する場合において」「逮捕の現場で」という文言から、現実に逮捕をしたかは問わない

 相当説からは、現実に逮捕をしなくても証拠存在の蓋然性は認められるため許される

 緊急処分説からも、許される

逮捕行為への着手

 逮捕の前後を問わないとする最判昭36.6.7によれば、着手はいらないことになる

220条1項1号

 220条1項1号は、被疑者の捜索をすることについて規定しているものであり、証拠物の捜索差押えを目的とするものではないことから、逮捕行為着手前に2号の捜索差押えを行うことを許容する理由とはならない(99条1項参照)

被疑者の現在

 最判昭36.6.7によれば、被疑者が現場に現在することは必要ではない

被疑者が帰宅せず逮捕が行われなかった場合

 最判昭36.6.7によっても、この場合は逮捕との時間的接着性がなく、「逮捕する場合において」に当たらないから許されないことになる

身体に対する強制処分

衣服内を調べる

 衣服の捜索であれば、身体を対象とする捜索差押え許可状によることができる。

 ただし、体腔内を調べるのであれば、身体検査令状が必要。

注射痕を調べる

 身体検査令状が必要

体腔内を調べる

 身体検査令状が必要

X線撮影

 専門的知識が必要なものであることから、鑑定受託者に対して鑑定処分許可状を発して検査を行うことになる

強制採尿

名古屋高裁

 被疑者の人格の尊厳を著しく害し、その令状の執行手続として許される限度を超えるとしている。捜査比例の原則(197条1項本文)違反をいうものと解される 令状執行の限界を超える

最高裁

 身体検査においても、体腔内を調べることはあるから

旧実務

 身体検査令状のみでは、カテーテルを用いた医療的措置ができない。

 鑑定処分許可状のみでは、強制的に行うことができない(225条4項・168条6項、139条、172条)

捜索差押令状(最高裁)

 体内にあって、いずれ排出される尿を差し押さえる点で、捜索差押えと類似するから。

 しかし、以前はやはり体腔内への侵襲を伴うことから、捜索差押令状では足りず、身体検査令上によるべきものとされていたものと考えられる

捜索差押令状によることの問題点

 カテーテルを用いる場合に、被疑者の人権(名誉・健康)が害されるおそれ。

 最高裁としても、身体検査令上に関する218状5項を準用して、医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠であるとする

強制処分法定主義違反?

 確かに、強制採尿令状という新たな形式の令状を作り出したとも見られる。しかし、捜索差押の範囲に留まるのであれば、根拠があることになり、許されるともいえる