BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

詐害行為取消権

二重譲渡と詐害行為取消権

 最判昭36.7.19は、損害賠償請求権という金銭債権に転化することから、詐害行為取消しを認める。

 もっとも、特定物債権のままで詐害行為取消し後に改めて履行請求できるとすると、対抗要件制度の趣旨に反することになるから、それは認められない。それだからこそ、最判昭36.7.19は、無資力を要求している。無資力でなければ、一度戻したところで、結局債権者にお金を支払った上で改めて第三者に売却することになり、二度手間にもなる。 

f:id:soumushou:20171120140648p:plain

債権者取消権の要件・効果のまとめ

(1)詐害行為取消し(424条)をCを被告として、BC間の譲渡契約の取消しとA2への本件不動産の引渡しを裁判所に請求することができる

(2)

 まず、債務超過の状態であり(資産800、負債1700)、無資力。

 A2は500万円の債権を持ち、不動産は600万円。

 旧法では、一部債権者への代物弁済は、適正価格によるものであったとしても原則として詐害行為になるとしていた(p.790)。

 新法においては、債務者が債権者を害することを知って代物弁済をした場合には、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分について、取消しの請求をすることができる(424条の4)。したがって、500万円を超える100万円の部分について、A1はA2に対して取消しの請求をすることができる。そして、土地であるから、価格賠償であって100万円の給付をA1はA3に直接請求できる。

 A1はBに対する債権と相殺し、優先弁済効を得る。

 したがって、A1は100の債権をゆうし、A2の債権はなし、A3は1000の債権を有する。Bの責任財産は、200の預金のみ。

 この場合、資産(200(預金)+100(土地))に対して、A1が200万円、A3が1000万円の債権をもっており、これに対して執行できる。

 

 もしA3への弁済の場合には、過大となっていないことから、424条の4による請求はできない。しかし、非義務行為として、424条の3第2項により、①支払不能になる前30日以内になされたものであり、②通謀的害意がある場合には、取り消すことができる。この場合、代物弁済全体を取り消すことになる。

 そして、資産(200+600)に対して、A1が200万円、A2が500万円、A3が1000万円の債権を有するというもとの状態に戻って、執行が行われる。なぜならば、A3は425条の3により、代物弁済によって消滅した分の債権が回復するからである。

(3)弁済した場合については、旧法でも新法でも、同様に原則として詐害行為にならない。

 ただし、支払不能下での弁済で、通謀的害意がある場合には、詐害行為取消しをできる(424条の3第1項)(p.785)

 この場合の後処理としては、425条の3でA1の債権が回復し、もとの状態で執行が行われることになる。

(4)既存債務への担保設定については、旧法では原則として詐害行為になるとされていたが、新法では原則として詐害行為にならない

 弁済と同様に、支払不能下で通謀的害意がある場合にのみ債権者取消権を行使することができる(424条の3) 

 他方、同時交換的行為(新たな借入に対する担保権の設定)については、相当価格での処分行為と同様に詐害行為となる(424条の2が妥当する)。

 ただし、有用の資に当てるためであれば、詐害行為とはならない。旧法下の判例でその例として認めたのは、生活費教育費にあてるための借り入れの場合や、営業を継続して更正するのに新規借り入れしかなかった場合である。

 従って、

競馬→詐害行為

事業資金→場合によっては詐害行為とならない

もっぱらA2の債権の弁済にあてた→A2にとっては詐害行為とならない。しかし、A1A3にとってはなりうる(424条の3によって処理)

みんなに平等に弁済した場合→A1A2にとっては詐害行為とならない。しかし、A3にとってはなりうる(424条の3によって処理)