BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

員外貸付の効力

 原告が、被告に対し不動産の所有権移転登記の抹消登記手続きを求める訴訟

 訴訟物:所有権に基づく抹消登記手続請求

判例と裁判例の違い

裁判例:裁判所が過去に下した判決

判例:裁判例のうち、先例的意味を持つもの。重要なもの。

cf. 法律学小辞典 広義には過去に下された裁判をいう。教義には、それらに含まれる原則のうち、現在拘束力をもつもの。刑事訴訟法405条の「判例」は教義の判例。

上告理由第二点に対する判断の前提となる事実

 A労働金庫が昭和30年10月20日に、労働金庫の会員でない上告人(原告)に60万円を貸し付けた行為は、目的外の貸付であった

労働金庫のした貸付の相手方

第一審

 原告

控訴審

 結成されていない団体である組合→117条1項→控訴人(原告)

最高裁

 結成されていない団体である組合→117条1項→上告人(原告)

上告理由第一点

・原審判決は「金庫が右貸付をした際組合が存在しないことを知悉していたものであるとの控訴人主張事実を認めえないことは…明らかである」とするが、金庫は組合が存在しないことを知悉していた。従って、117条2項により同条1項は適用されず、上告人は本件貸付債権の債務を負わない。よって、抵当権及びその実行は無効である

・また、知らなかったとしても、民法117条2項の過失があった。従って、同様に、本件貸付債権の債務を負わない。さらに、当該過失に関して判断を示さなかったことは審理不尽の違法がある

員外貸付

 組合等において、その構成員以外の者に貸付を行うこと。本件は、労働金庫が貸し付けたものであり、労働金庫法58条1項2号は労働金庫の業務を「会員に対する資金の貸付」とするから、本件は員外貸付に当たるといえる

員外貸付の効力

第一審:直ちに無効ではない。目的の範囲外の行為ということができず、無効ではない

控訴審:目的の範囲外の行為であるとしてこれを直ちに無効であるとするのは相当でない

最高裁:所論の貸付が前記労働金庫の会員でない者に対する目的外の貸付であったことから、無効とすべきが相当

被担保債権

最高裁:貸付相当の金員を不当利得として労働金庫に返済すべき義務

無効主張が封じられる場合 

原債権が無効となる代わりに抵当権の被担保債権となる不当利得返還債権を弁済しない場合 

関連条文

民法

(法人の能力)
第三十四条 法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。

 

労働金庫法

(会員たる資格)

第十一条 労働金庫の会員たる資格を有するものは、次に掲げるもので定款で定めるものとする。
一 その労働金庫の地区内に事務所を有する労働組合
二 その労働金庫の地区内に事務所を有する消費生活協同組合及び同連合会
三 その労働金庫の地区内に事務所を有する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の二(職員団体)の規定に基づく国家公務員の団体、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十二条(職員団体)の規定に基づく地方公務員の団体、健康保険組合及び同連合会、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)に基づく共済組合及び同連合会、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)に基づく共済組合及び同連合会並びに私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)の規定により私立学校教職員共済制度を管掌することとされた日本私立学校振興・共済事業団
四 前三号に掲げるもののほか、その労働金庫の地区内に事務所を有し、かつ、労働者のための福利共済活動その他労働者の経済的地位の向上を図ることを目的とする団体であつて、その構成員の過半数が労働者であるもの及びその連合団体
2 前項の規定にかかわらず、定款に定めのある場合には、その労働金庫の地区内に住所を有する労働者及びその労働金庫の地区内に存する事業場に使用される労働者は、その労働金庫の会員となることができる。
3 労働金庫連合会の会員たる資格を有するものは、その連合会の地区の一部を地区とする労働金庫であつて、定款で定めるものとする。

(金庫の事業)
第五十八条 金庫は、次に掲げる業務及びこれに付随する業務を行うものとする。
一 会員の預金又は定期積金の受入れ
二 会員に対する資金の貸付け
三 会員のためにする手形の割引